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繊細な透明感を表現 プライス氏立ち会いのもとで一色ずつ合わせました。

カリフォルニアのプライス邸で

右がジョー・プライス氏

 

新絹本にデジタル・マイスター・リトグラフで再現



ロサンゼルス、プライス邸訪問記  細田 繁

国宝倶楽部コレクション、酒井抱一筆「十二ヶ月花鳥図」全十二幅の制作作業の一環として、原本所蔵先のロサンゼルス郊外、コローナ・デル・マールの太平洋を望む高台にあるプライス邸に、制作ディレクターの三浦氏とお邪魔した。
ここプライス邸は、江戸絵画を中心とした日本美術の収集で世界的に有名なプライスコレクションの本拠地である。

一日目

ジョー・プライス氏、悦子夫人に温かく迎えられて、原本との色合わせのため一階の作品鑑賞・所蔵用の部屋に案内された。
プライス氏自ら、抱一筆の「十二ヶ月花鳥図」を二幅掛けてくださり、はじめにプライス氏から、どんな光の中で色合わせをしたいのかと尋ねられる。掛軸や屏風を鑑賞するために作られたこの部屋は、カリフォルニアの陽光をシャッターや障子で調節することで、江戸絵画を楽しむのにベストな光の空間を作り出すことができる。

プライス氏と相談しながら、抱一の花鳥図の図柄の最も美しく浮き出る光を見つけ出し、その光のなかで色校正・色合わせの作業が始まった。 三浦氏は、何種類ものカラーチャートと過去に制作した大量の色見本帳を用意し、抱一の絵の中の特徴的な色合い、微妙な色彩の部分を一箇所ずつ原本と試作品を比べながらチェックし、メモしてゆく。日本に戻ってから、そのメモに基づいて、製版の四色の色調を調整し、さらに原本において印象的で重要な色味については、新たな色版を作ってその上に載せてゆく。本製品では、抱一の「十二ヶ月花鳥図」の微妙な色合いを再現するため、このような特色十色刷り・デジタル・マイスター・リトグラフという技法を用いている。

二日目

初日の午後、三時間かけて二幅を、翌日は朝九時から夕方五時まで十幅の作業をすすめ、全十二幅の色合わせを行った。
その間にプライス氏や悦子夫人から、それぞれの絵の特徴や注目すべき点などについてお教えをいただき、色合わせをすすめる上で大変参考になった。悦子夫人から、薄墨を引いた絵の地色の透明感のなかに、植物や鳥などの絵のモチーフが浮き出るところが、抱一の「十二ヶ月花鳥図」の眼目であるとのご指摘を受け、今回は、和紙ではなく新絹本という薄く透明度の高い布地に刷ることで、その風合いの再現をめざすことになった。「十二ヶ月花鳥図」の全十二幅を一度に見るチャンスは滅多にない。

この機会に是非、酒井抱一筆「十二ヶ月花鳥図」の十二の月ごとに繰り広げられる花樹草花の甘味な世界とそこに遊ぶ鳥や昆虫のいきいきとした姿をご堪能いただきたい。


酒井抱一筆「十二ヶ月花鳥図」は東京国立博物館、京都国立近代美術館、九州国立博物館、愛知県美術館の「若冲と江戸絵画展」で紹介。